私の生きる道 (アメリカインディアナ州)

2016年6月 アメリカインディアナ州に移住

2017 ピンクリボン月間

10月はピンクリボン月間です。
アメリカでも、ニュースでは毎週のように乳がんの話題を取り入れたり、
美容院ではウィッグを店頭に展示したり、
お店ではピンクで飾りつけたりなど、
至る所で意識の高さを目の当たりにします。
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偶然にも、私が手術を受けて乳がんがわかったのは、10月でした。

私は症状があってクリニックを受診したのですが、
ピンクリボン月間に検診を受けてがんが見つかってしまい、
10月〜11月にかけて手術、治療が始まる患者数は、他の月よりも多いんだろうなと思います。

毎年ピンクリボン月間にメディアからの呼びかけや情報を受けて、
なんとも形容し難い、複雑な気持ちに悩まされます。
ところが、先日、私の思いを代弁してくれているような記事に出会いました。

そこで、色々な意見があるとは思いますが、
乳がんの現実を知って欲しいという意味で、
ここで少し書きたいと思います。

早期発見で治癒率9◯パーセント、
乳がんの死亡率低下など、
乳がんは他のがんに比べて治癒しやすいがんのように捉えられていますが、
実際は決してそうは言えないと思います。
乳がんはごく早期から転移を起こす全身病です。
また、一度転移を起こしてしまうと治癒不可能であり、毎年たくさんの方が亡くなっています。
病気の兆候が何もなかったところに術後10年以上経って再発することも稀ではありません。
ポジティブに捉えることも大切ですが、
現実を見て、恐ろしい乳がんの正体と向き合う必要があると私は思います。

また、私は術後7年経ちましたが、服薬は続いています。
10年は続ける必要があります。
自分なりに毎日元気にはしていますが、
果たして、乳がんを患わず服薬していない日々だとしたら体調は同じだったのか、比較できないためわかりませんし、
日々の体調に表れる以外の、
地味な、またメンタル的な副作用は間違いなくあります。

年齢の比較的若い女性の罹患率が上がっている今、
10年間ものホルモン治療が何を意味するのか、大きな問題です。

金銭的な問題もあります。
乳がんはタイプによっては非常に高価な薬剤を用いての治療が標準治療として勧められます。
家計が苦しくなりますが、患者として使える薬がある事は非常に有り難いことだと捉えられていて、藁にもすがる思いで選択するしかないのです。

つまり言いたいことは、
乳がんの楽観的な一面のみの情報によって未来が明るく照らされ、
また、検診を受けて早期発見すれば治癒率アップ!
などと、
メディアやキャンペーンで全面的に強調されても、
現実はそれほど簡単ではなく、短絡的ではいけないという事を知ってほしいのです。

自分が罹患する確率は、女性であれば11人に1人、それでも非常に高確率ですが、
身近な人、家族や友人が罹患する確率はもっと高いです。
『本当は怖い乳がん』という現実を知ることは、
病気と闘う人にいかに理解を示して親切に歩み寄れるかに繋がると思います。

ピンクリボン月間が意義あるものとなりますように。