私の生きる道 (アメリカインディアナ州)

2016年6月 アメリカインディアナ州に移住

【拡散希望】東京都江戸川区『まつしま病院』〜女性のより良い未来のために

我が家には、二人の娘以外にもう一人、一番上にお姉ちゃんがいました。
しかし、新生児仮死で生まれ、二日後に亡くなりました。

私と主人でさえ、目を開いたお顔すら見ることが叶わなかったのに、
そのあとに元気に生まれてきてくれた二人の子にとっては、お姉ちゃんはまさに架空の天使のような存在です。

上の子の一歳年上。

家では、事ある毎にお姉ちゃんの存在を会話に入れるので、
二人の口からはしょっ中お姉ちゃんの名前が出てきます。

「生きていたらよかったなー。」
「五人家族やったなー。」

この子達にとっては、もともとあった身近な存在を失ったのとはまた違うため、
夢の世界を語るような感じでお姉ちゃんのことを楽しく会話にできるので、
私と主人にとって、とても有難いです。

なぜ今、亡くなった長女のことを書いているかというと、
先日、中学時代の友人と久々にテキストで会話をしていたところ、
ショッキングな情報を受けたからです。

実は当時、長女の新生児仮死、死亡の過程に納得がいかず、
弁護士、医者、助産師など多くの方にアドバイスや意見をもらい、
様々な手段をとり、4年かかってようやく自分達の中で蹴りをつけました。

協力してくださった方々の中でも、特に親身になって寄り添ってくださり、人間味のある対応をして頂いたのが、
東京都江戸川区にある『まつしま病院』の当時の院長、佐々木靜子医師、
同じくまつしま病院での当時の師長、小竹久美子助産師でした。

お二人の長年の臨床経験からの専門知識で数々のアドバイスを頂き、
また、明るく、パワフルで、愛を持って励まして頂きました。
事態が落ち着いた際に一度お会いしたときのあの笑顔が忘れられません。

そして、お会いしてから5年経った2013年と2014年に、お二人とも他界されました。

2013年に佐々木院長が、そして1年も待たずして2014年小竹師長が追いかけるように行ってしまいました。

おふたりはいつも一緒で、二人三脚でまつしま病院を盛り立ててこられ、
体調を悪くされたのも、亡くなられたのも一緒。
仲の良かったお二人を象徴する出来事です。

さらに佐々木院長の死去から5年近く経った今、2018年。

医師、助産師不足など様々な問題を抱えながら、残ったスタッフの方々でまつしま病院の存続のために踏ん張ってくれたようですが、
今、それも限界を迎えているとのこと。

さらに2018年3月いっぱいで退職される医師、スタッフが多いとのことで、
4月からの新体制はすでに決まっているものの、
非常に難しい舵取りになりそうだとのこと。

これを聞いた時はとてもショックでした。
しかしショックだと言うだけなら誰でもできる、お世話になったまつしま病院の存続のために私が出来ることはないのかと考えた時に、
ここに書くことを決めました。


ここから先は、佐々木院長と小竹師長と共に、長年助産師としてお勤めされた友人から直接聞いた内容です。
事実を正確に書きたいので、友人から貰った文章をほぼそのまま引用して書きます。

佐々木院長の偉業、院長の思いが詰まったまつしま病院の重要性と稀少性、
そんな病院が、未来を生きていく女性のために存続できるように、
これを読んでくださっている方が、少し立ち止まって何かを感じ、その思いに蓋をすることなく、
何らかの形でお二人の意志を引き継いで動いてくださる方がいることを願い、
そしてそれが、まつしま病院の存続に繋がればという思いです。

尚、下でも説明がありますが、
まつしま病院は、”子宮と地球に優しい病院”の看板を掲げて、
女性が安心して受診できる病院で、DV・性暴力被害者ケアも行っている病院です。

〈以下、友人からの文章〉

>>佐々木院長は、生前、産婦人科医として様々な偉業を成し遂げた方です。富士見産婦人科事件の民事訴訟で協力医師として尽力されたことは特に有名です。67名もの原告全員の医学鑑定書を通常診療を行いながら1人で書き上げました。裁判には23年もかかり、その間証人尋問にも関わりました。その経験があったからこそ、女性にとってのより良い医療について考え、DV・性暴力被害者ケアに結びついたのだと思います。“女性の安全と健康のための支援教育センター”の副代表理事として設立に関わり、SANE等支援者の育成にも尽力されました。
女性にとってのより良い医療を最後まで追求されました。

「DV・性暴力被害者にとって良い医療とは、すべての人にとって良い医療だ」と良く口にされていました。

院長としてももちろん素晴らしい先生でしたが、医師以外の一面としては、勤務してるスタッフを労って差し入れをしてくれたり、年末年始には毎年豪華なおせちも作ってくれました。お茶目でチャーミングな方でした。

一方、佐々木院長と二人三脚で歩まれてきた小竹師長は、まつしま病院における“子宮と地球に優しい病院”を共に追求され、助産師としても師長としても頼り甲斐のある素晴らしい人でした。難産と聞きつけるとどこからともなく駆けつけ、産婦さんの側に付き添って声を掛けてくれ、丸っこい体に産婦さんが抱き着くなんてこともしばしばでした。

そんなお二人には、まだまだご活躍いただきたかったです。

日本は医療界を始め、全てにおいて男尊女卑が根強く、DV・性暴力被害者ケアを推進したり女性たちにとってより良い社会を目指すことが非常に難しい社会です。それは佐々木先生も「遅々として進まない…」と嘆いておられました。きっと頑張っても報われないことがたくさんあったんだろうし、本来注ぐべきエネルギーが別のところでたくさん使われてしまったのではないかと思います。

しかし最近は少しずつですが、社会に変化が見られるようになってきました。昨年強姦罪が110年ぶりに改正され、厳罰化されることとなりました。性暴力被害者が表舞台に出てくることも増えました。こういう積み重ねが徐々に社会を変えてくれるものと信じたいですし、そんな中私にできることは何なのかを考え、実行できればと思っています。

助産師として性教育は大事にしたいですし、看護学生や医学部の学生にDV・性暴力被害者ケアについて話す機会があれば出向きたいと思っています。また、女性たちにとってより良い社会を作るには、女性政治家を増やすことだと思います。

(略)

努力の末、たとえまつしま病院が閉院となったとしても佐々木院長と小竹師長は納得してくれるとは思いますが、
まつしま病院は、”子宮と地球に優しい病院”の看板を掲げて、
女性が安心して受診できる病院で、DV・性暴力被害者ケアも行っている病院です。
このような取り組みは日本ではまだまだ珍しく、希少な存在です。
佐々木院長と小竹師長の思いが絶えることなくまつしまで受け継がれていくことを願います。